仕立屋の仕事

 ここでは、仕立屋がどのような手順で、反物(たんもの)から、きものに仕立てていくかを、おおまかに説明します。

 1枚の反物(長さ12〜13M 幅38CM位)を着る人の寸法にあわせて、裁断して、きもののかたちに縫い上げます。また、できあがってるきものを解いて継ぎ合わせると、元の一枚の反物に戻ります。さらに、きものを羽織やコート、道中着などに縫い変えることもできます。

 1枚のきものを縫い上げるには、800とも900とも言われている工程をへて、着る人の姿や着ている時をイメージしながら、心をこめて一針一針縫っています、熟練している和裁士でも二日はかかります。


検反

地直し(じのし.じなおし)

検尺(けんじゃく)

見積もり

柄あわせ・柄裁ち

裁断(さいだん.たち)

標付(へらづけ)

袖縫い(そでぬい)

表身頃縫い(おもてみごろ)

裏身頃縫い(うらみごろ)

まとめ

仕上げ

                                                        





検反
1.反物と付属品がそろっているか調べます。

2.反物の布端に付いている品質の表示を確認し、絹100% あるいは 毛30%絹70% などのラベルを確認しないと合成繊維では、地直し、こて当てに失敗することがあるので検反の時にみます。

3.布地の表裏全体をみて、織り傷、しみ、汚れ、または反物の中心にある型つぎなどに注意し、欠点のある場合は糸標(いとじるし)をつけます。

地直し

 1.地直しの目的

 織物(布地)の織り方、染め方、その他、きものに仕上げるまでの加工のため、横糸と縦糸のバランスがくずれているもの、織る時に糸を張って織るので、伸びすぎているもの、縮むものなどの狂いを調べ、正しい織り目、布目の状態に直す。これにより縫い狂い、着くずれのないようにするのが、最も大切な行程です。 

 2.地直しの基本

(1) 布地がどのような狂い方、曲がり方をしているか見きわめます。 
(2) 繊維・布地の特徴を心得て、地直しを行うことがたいせつで、絹織物は熱を加えると縮み、時間を経ると少し伸びるものがあります。湿気を加えると縮むものと、伸びるものがあります。織糸に撚り(より)のあるもの、お召しのように糊の強いものは湿気の使用を、また合成繊維は特に熱に注意します。
(3) 地直しは、熱、湿気、圧力などを布地の種類、状態に応じてかげんします。絹は熱、木綿は湿気、ウールは湿気と熱などを利用します。実際はこれらを合わせ持ちいて直すことが多いです。
 道具は、ドライアイロン、スチームアイロン、こて、霧吹き、巻棒、あて布などを使用し、柔らかく湿気、熱をよく吸収してくれる、毛布などの上でかけます。
 ドライアイロンやスチームアイロンはいつも同じ温度の状態でかけ、品物の種類で温度、速度を変えます。水分、霧はむらのないように使用し、水分湿気が取れるまでアイロンをかけます。
 

検尺

 表あるいは裏地、付属品の長さを測り、要尺((ようじゃく)必要な長さ)だけあるか、過不足をしらべます。

 ものさしを、写真のように持って測るので、このものさしの使い方を持尺(もちじゃく)といいます。ただし、持尺では正確にはなかなか測れないので、だいたいの長さを測るときに使用します。
 
 仕立屋は、ほとんど竹でできている物差しを使い、cmではなくて鯨尺をつかってます。(1Mは約2尺6寸4分)
 

見積もり

 寸法表をもとに計算された要尺があることを確かめ、地直ししてある反物を裁板の上で、折り積もり(袖、見頃、衿衽の長さを折り畳んで確認する)します。この場合は、裁板の上にものさしをおいて測るので置尺といいます。

柄合わせ・柄裁ち

  きものはファッションもデザインも変化が少なく完成されたものが多いので、彩、模様の組み合わせ、配置によってきものの美しさを作りだしています。柄あわせは婦人物では最も重要な工程で、柄の裁ち方によって、着る人を美しく見せる。反物の柄を生かして、着る人の趣味、好みをあらわす。また、体型の欠点を隠し長所を生かすような、裁ち合わせをします。

 また、寸法や裁つ人のセンスによって、同じ柄の物でも、柄の配置には違いがでてしまいます。
 もっとも重要な工程です。

裁断











裁断する場合には、無地や小紋、付下や留袖などの絵羽物等により、手順やはさみの使い方に違いがあり、縮緬などのような地の目を真っ直ぐにとおすもの、また柄や布地によって地の目をとおせないもの、などいろいろな裁ち方があります。
 

標付

 

 柄あわせ、裁断のできた物を寸法表を見て各部分に正確な寸法をしるします。
 この標付は、縫い合わせを正確に、早く、美しく仕上げるためにするもので、できあがった時に表には見えないようにしるしをつけます。

 また、布地によって表地と裏地に伸び縮みの違いがある場合は、その分のゆるみなどもある程度ここで入れておきます。柄を合わせるときなども、正確に柄が合うようにここで、伸ばしたり、縮めたりして合うようにします。
 

袖縫い

 袖は、表地、裏地、袖口布からできていて、きものを縫うための技術が結集しているところです。

表身頃

 素縫いとも言いますが、左右の後ろ前身頃、衽(おくみ)、地衿、共衿からできており、内揚げ、背縫い、脇縫い、衽、地衿、共衿の順番で縫っていきます。

 縫った所は、鏝でしっかりと平らにしていきます。

 布地によって、針目、糸の加減や鏝の当て方に微妙な違いがあり、とくに袷のきものの場合、裏との釣り合いをよく考えて縫っていきます。




裏身頃

 胴裏、八掛(はっかけ)でできていて、胴裏と八掛とを別に縫い、胴はぎ(胴裏と八掛を縫い継ぐ)をして衿をつけます。
 裏も表と同様に注意しながら縫います。

まとめ

 素縫いのできあがった表と裏をあわせます。
 裾には、芯を入れ裾ふきをだして、縫いあわせます。縫い目をとじあわせ、袖を付け、衿周り、立褄をくけあわせてます。

 仕上げ

 できあがったきものを鏝やアイロンなどで仕上げます。
 しわやビリツキなどをとり、表と裏の釣り合いをきものを下げて確認します。





 すべて検品してから畳み、できあがりです。


に戻る      このページの最初に戻る